スサノオは、アマテラス、ツクヨミと並ぶ三貴子として人気のある、日本神話の神です。
その性格は、泣き叫ぶ子供のような一面もあれば凶暴な一面もあり、その一方で英雄としての一面もある。
そんな人間的な多面性を併せ持つ、魅力溢れる神です。
「スサノオの神話は、スピリチュアルの成長そのものである」と、私は捉えています。
ここでは、スサノオの神話から見た、目に見えないスピリチュアルの成長4つのポイントを、分かりやすく簡単に解説していきます。スピリチュアル的に成長していきたいと願う方は、是非参考にしてみてください。
目次
序章 スサノオとは
①三貴子としてのスサノオ
②天津神・国津神としてのスサノオ
1.成長のポイントその一【泣いてばかりいたスサノオ】
1-1グラウンディングが出来ていない
1-2ネガティブを引き寄せる
1-3歩み出す必要がある
2.成長のポイントその二【信頼を勝ち得たスサノオ】
2-1成功体験を身につける
2-2過信は身を滅ぼす
3.成長のポイントその三【失敗から学ぶスサノオ】
3-1失敗は成功のもと
3-2感謝するということ
4.成長のポイントその四【英雄となったスサノオ】
4-1.自らの力を他者の為に行使する
4-2更なる高みを目指していく
まとめ
序章 スサノオとは
「スサノオってどういう神様?」と思われる方もいらっしゃると思いますので、4つのポイントを解説する前に、その部分から説明をしていきます。
ちなみに、スサノオは文献によって表記が変わります。
『日本書紀』では素戔男尊、素戔嗚尊など、『古事記』では建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)、須佐乃袁尊、『出雲国風土記』では神須佐能袁命(かむすさのおのみこと)、須佐能乎命などと表記されています。
その為、スピラボでは最も認知されている、『スサノオ』の表記を採用しています。
①三貴子としてのスサノオ
三貴子とは、アマテラス、ツクヨミ、スサノオの3柱を指します。
古事記によると、黄泉の国から帰ってきたイザナギが、黄泉の穢れを落とすための禊をした際に、最後に洗った左目からはアマテラスが生まれ、次に右目を洗うとツクヨミが生まれ、そして鼻を洗うと生まれたのがスサノオでした。
イザナギは、「わたしは、子を生み続けたけれど、ついに三柱の貴き子を得た。」と大変喜び、アマテラス・ツクヨミ・スサノオの三柱を、三貴子と名付けたと言われています。
②天津神・国津神としてのスサノオ
天津神と国津神は、ともに日本神話に登場する神です。
その中でも、天にある高天原にいる神を『天津神』と呼び、天孫降臨以前から、この国土を治めていたとされる土着の神(地神)を『国津神』と呼びます。
このように、通常はどちらかに分類されるのですが、高天原を追放され地上に下ったスサノオは、双方に所属する稀有な神であると言えます。
1.成長のポイントその一【泣いてばかりいたスサノオ】
イザナギは、生まれてきた三貴子に対して、
- 高天原はアマテラス
- 夜の世界はツクヨミ
- 海原はスサノオ
それぞれに治めるようにと、役割を与えます。
アマテラスとツクヨミは、命じられたとおりにそれぞれの国を治めたのに対し、スサノオだけは母のいる黄泉の国に行きたいと、何もせずに泣き続けました。
スサノオのあまりにも激しい泣き方により、山の草木は枯れ、悪神たちが暴れだし、さまざまな災いが起きました。
その様子を見かねたイザナギは、とうとうスサノオを追放し、それによってスサノオは、姉のアマテラスが治める高天原へ向かったのです。
1-1グラウンディングが出来ていない
「何もせず泣き続ける」という状態というのは、グラウンディングが出来ておらず、「これは自分のやりたいことじゃない。あれも自分には向いていない。」などと言い訳ばかりをして、何も具体的な行動を取らない様を表しています。
ちなみにグラウンディングとは、「地に足を付けて、現実的に生きる事」を指します。
この段階にいる人は、
- 自分に向いている事が分からない
- 何をすべきか分からない
- 自分は不幸だと思い込んでいる
- 思考がごちゃごちゃしていて混乱している
- 生活するだけで精一杯
などの特徴があげられます。
1-2ネガティブを引き寄せる
スサノオが泣き続けた事によって、さまざまな厄災を引き起こしたように、この状態を改善しようとせず放置していると、それに呼応してネガティブなエネルギーや存在を引き寄せてしまいます。
その様は、『不幸が不幸を呼ぶ』ような状態であると言えます。
1-3歩み出す必要がある
スサノオの場合は追放されたので、ある意味で強制的ではありますが、何もせず泣き続けていた状態から、アマテラスがいる高天原を目指して歩みだすという、変化を起こしました。
このように、『目的を定めて歩みだす』という事によって、この段階から抜け出す事が出来ると言えます。
2.成長のポイントその二【信頼を勝ち得たスサノオ】
高天原に向かったスサノオですが、その荒々しい足音は天地を揺るがし、国中が大地震でも起こったかのようでした。
その様子を見て、「スサノオが攻めてきた」と勘違いをしたアマテラスは、武装をしてスサノオを待ち構えました。
スサノオは、「自分には悪意がない」と言っても信じないアマテラスに対して、「お互いに神に誓いをたてて、子供を生みましょう。そして出来た子の良し悪しで、私の心を見て欲しい」と提案し、受け入れられました。
そして、スサノオから生み出された子供たちが、純真な女神たちであったため、アマテラスからの信頼を勝ち取り、しばらくを高天原で過ごす事となったのです。
しかし、スサノオはそれを良いことに、高天原で乱暴の限りを尽くし、八百万の神々を困らせました。
最後には、髪と髭を切られ、そして手足の爪をはがれた上で、高天原から下界へと追放されてしまったのです。
2-1成功体験を身につける
「スサノオが高天原を奪いに来た」と疑っていたアマテラスに対し、自ら提案を持ちかけ、そして信頼を勝ち取る過程は、成功体験を積み重ねていく様を表しています。
『生きていく為に必要な結果を出し、そして安定した基盤をつくる』というのが、この段階における課題と言えます。
2-2過信は身を滅ぼす
アマテラスの信頼を勝ち得たスサノオは、己の力を過信し、傲慢になることで、乱暴の限りをつくすようになっていきます。
その結果、高天原から下界へと追放されてしまいます。
この過程は、成功する事で自分の力を過信し、周りが見えなくなっていく様を表しており、現実世界でもよく見られる光景と言えます。
この段階においては、『謙虚さを身に着ける』事で、このような落とし穴を回避していくことが出来ると言えます。
3.成長のポイントその三【失敗から学ぶスサノオ】
高天原から下界へと追放されたスサノオは、当てもなくさまよいます。
しかし、地上に存在する人間や動物すべてに、「高天原を追放された乱暴神」として知れ渡っていた為、誰にも相手にされず、孤独な時を過ごします。
居場所がないスサノオは、母のいる黄泉の国を目指して、一人旅をすることになります。
次第に孤独に耐えられなくなったスサノオは、自らの行いを振り返り、そしていかに自分が身勝手であったかを、心から反省をしていくようになります。
更には、自らを罰したアマテラスや八百万の神々にすら、感謝の気持ちを抱くまでに成長を遂げていくのです。
3-1失敗は成功のもと
下界へと追放されたスサノオには、孤独という更なる試練が待ち構えていました。
『この試練に打ちのめされ、自暴自棄になるのか』 それとも 『そこから学びを見出し、成長の糧とするのか』
経験する試練の捉え方によって、その意味合いが全く別のものになる、というのがここでのポイントです。
3-2感謝するということ
スサノオは、膨大な孤独の中で自分の行いを振り返り、「自分の侵した罪は死罪であってもおかしくなかった」と悟ります。
そして、追放だけで済ましてくれた事に対し、感謝の念を抱くようになっていく過程は、精神的な成長を表しています。
『闇の中から光を見出していく』ことで、私たちは心から感謝をしていけるようになります。
4.成長のポイントその四【英雄となったスサノオ】
出雲の国に辿り着いたスサノオは、老夫婦と女の子が泣いているのを見つけます。
そして泣いている理由を聞くと、八つの頭と八つの尾をもつヤマタノオロチという大蛇が、毎年娘たちを一人ずつ食べてしまい、今度は最後の娘の番になってしまった、という事が分かります。
その話を聞いたスサノオは、出雲の土地が荒れ、人々が恐れて家に閉じこもっている理由がヤマタノオロチにあると気付きました。
そこでスサノオは、人助けと共に、クシナダ姫を嫁にもらうという条件で、自分が退治すると申し出ます。
スサノオは、ヤマタノオロチが酒好きな事を知ると策を講じ、見事討ち取ることに成功したのです。
英雄となったスサノオは、約束どおりクシナダ姫と結婚し、出雲の国を治めていくのでした。
4-1.自らの力を他者の為に行使する
出雲の国を脅かしている、ヤマタノオロチを退治するという過程は、『他者の為に自らの力を行使する』という様を表していると言えます。
ここでのスサノオは、スピリチュアル的に表現すると、『ライトワーカー』です。
ちなみにライトワーカーとは、『自らの喜びを伴って、社会貢献をする人』の事を指し、『ライトワーク』とは、それを行う事です。
余談ですが、ライトワーカーは『肩書きや職業ではなく、生き様である』と私は捉えています。
『力や能力』を自らの為だけでなく、他者の為に行使するということは、高い精神レベルの表れでもあります。
4-2更なる高みを目指していく
ヤマタノオロチを退治したスサノオは、クシナダ姫と結婚をし、たくさんの子供に恵まれ、そして出雲の国を治めていくのですが、この過程はライトワークの幅を広げていく様を表しています。
これは、『喜びを伴いながら、より多くの人の為に、自らの力や能力を活用していく』という事でもあります。
『より大きな役目を担っていくという事は、高い能力や力を持つ者の責任であり、その責任があるからこそ、高い能力や力を扱う事が出来る』という事は、スピリチュアルな概念だけでなく、現実世界でも見られる『真理である』と言えるでしょう。
まとめ
スサノオの神話をもとに、スピリチュアルの成長4つのポイントを解説してきましたが、いかがでしたか。
三貴子であるスサノオですら、様々な過程を経て、偉大なる存在へと成長していく様は、私たちを力強く勇気づけてくれます。
本来、スサノオ尊は、力強くも愛に溢れた神です。スサノオの神話より、成長のヒントを得る事で、より高いレベルを目指していきましょう。